墓じまいでは、墓石を撤去して区画を更地に戻す工事が必要です。公営霊園では、区画を返すときに使用者が自分の費用で原状回復(更地に戻すこと)をするよう定めているところがあります[8]。
工事を頼む先には、石材店のほか、手続きから工事までまとめて引き受ける代行サービスもあります。この記事では、業者の種類ごとの違い、見積もりの取り方と比べる項目、断り方、契約前の注意点を順に整理します。
なお、親子ナビ編集部は法律の専門家ではありません。墓地の規則や手続きは、墓地の管理者・市区町村に必ず確認してください。
墓じまいを頼める業者は3種類
墓じまいで業者に頼むことは、主に墓石の撤去工事と手続きの代行です。頼む範囲によって、選ぶ業者が変わります。
| 比べる項目 | 墓地に出入りする石材店 | 地元の石材店 | 墓じまいの代行サービス |
|---|---|---|---|
| 頼めること | 撤去工事 | 撤去工事 | 手続き・工事の手配・改葬先の紹介など(業者による) |
| 良い点 | 墓地の事情を知っている | 出張費がかかりにくく、比べやすい | 窓口が1つで手間が少ない |
| 注意点 | ほかと比べずに決めると高くなることも | 墓地で工事できるか先に確認する | 工事は別の業者が行うことが多い。含まれる作業を確認する |
先に確認したいのは「墓地の規則」
霊園やお寺によっては、工事できる石材店が決められていたり、工事の前に届出や許可が必要だったりします。たとえば京都市の市営墓地では、墓石などの撤去に事前の許可が必要で、原状回復ができていないと使用の終了が認められないとしています[7]。業者を探す前に、墓地の管理者に確認しましょう。
墓じまいの業者に払う費用の目安
撤去工事の費用は墓地の面積で、代行サービスの費用は頼む範囲で変わります。墓石の撤去には公的な基準がないため、金額は民間の目安です。
墓石の撤去・整地(1㎡あたり)[12]
8万〜15万円
重機が入れない立地などで上がる
墓じまいの代行サービス[12]
16万〜30万円
含まれる作業は業者によって違う
改葬許可の手数料(自治体)[11]
無料〜1枚300円などの例
町田市は無料、奈良市は1枚300円
費用
区画の広さと、業者に頼む範囲で決まります
※撤去と代行サービスの金額は、民間の相場記事による参考の目安です。代行サービスの料金に撤去工事が含まれるかは業者によって違います。改葬許可の手数料は自治体ごとに異なります。
改葬許可の手数料は自治体ごとに違い、町田市は手数料がかからず[10]、奈良市は1枚300円です[11]。代行サービスに手続きを頼む場合も、手数料の実費が別にかかるかを確認しましょう。
区画の広さと遺骨の数、改葬先から、墓じまい全体の費用の目安も試算できます。
見積もりの取り方(5ステップ)
見積もりは、すべての業者に同じ条件を伝えて取ると比べやすくなります。
墓地の規則を確認する
指定の石材店があるか、工事の届出や許可が必要かを確認します。
お墓の情報をそろえる
2〜3社に見積もりを依頼する
頼む範囲(工事だけか、手続きまでか)を同じにして依頼します。
現地を見てもらう
重機が入れるか、外柵や灯籠があるかで費用が変わるため、現地の確認を受けてから金額を確定させます。
内訳を比べて1社に決める
次の6項目で比べ、決めなかった業者には早めに連絡します。
全体:見積もりがそろう時期は、業者の予定と現地確認の日程によります
見積もりで比べる6項目
金額の合計だけでなく、次の6項目を並べて比べましょう。国民生活センターも、工事の契約全般について、複数の事業者から見積もりを取り、費用だけでなく工期・施工体制・保証内容なども検討するよう助言しています[5]。
- 内訳が書かれているか:「一式」だけでなく、解体・運搬・処分・整地などが分けて書かれているか。
- 追加費用の条件:重機が使えない場合や、遺骨の数が想定より多い場合などに、いくら追加になるか。
- 頼む範囲:遺骨の取り出し、閉眼供養の手配、改葬許可の手続き、改葬先への納骨のどこまでが含まれるか。
- 工事をする人:代行サービスの場合、実際に工事をするのはどの石材店か。墓地の指定業者か。
- 工期と支払い時期:いつ工事をして、いつ払うのか。前払いの金額はいくらか。
- 事故への備え:隣の区画や通路を傷つけた場合の補償について説明があるか。
断り方と契約前の注意点
断るときは早めに、短く伝える
比べた結果、ほかの業者に頼むことにした場合は、早めに連絡しましょう。「検討の結果、今回は見送ることにしました」と短く伝える方法があります。電話で話しにくいときは、メールなど記録が残る方法で伝えると行き違いを防げます。
見積もりの段階で費用がかかるか(現地調査の費用や出張費など)は、依頼する前に確認しておきましょう。
契約は書面で、全額前払いは避ける
国民生活センターは、工事の契約全般について、高額な費用の全額前払いは避け、完成後の支払いを主とした契約にするよう助言しています[5]。墓じまいでも、見積もりの内容・追加費用の条件・支払い時期を書面で受け取ってから契約しましょう。
工事が終わったら更地の確認を
公営霊園では、区画を返す手続きに原状回復の確認が必要なところがあります。仙台市の市営墓地では、更地に戻したうえで墓園管理事務所の証明を受けることが必要とされています[8]。都立霊園の案内でも、お墓を更地にする費用は使用者の負担とされています[9]。工事の完了後に、管理者の確認が済んだかを業者と一緒に確かめましょう。
困ったときの相談先
国民生活センターには、墓に関する相談が2025年度に1,077件寄せられています(PIO-NETに登録された件数)[4]。見積もりと違う金額を請求された、契約の内容で話がまとまらないといったときは、消費者ホットライン「188」に電話すると、近くの消費生活センターなどの相談窓口を案内してもらえます[6]。
墓じまい全体の費用や、離檀料で困ったときの考え方は「墓じまいの費用と改葬許可の流れ」で整理しています。


