お墓から遺骨を取り出して、別のお墓や納骨堂へ移す。墓じまいでも、遺骨の引っ越しでも、そのために市区町村へ出すのが改葬許可申請書です。
この記事では、申請書に何を書くのか、何を添えて、どこへ出すのかを、法令と自治体の公式ページをもとに整理します。墓じまい全体の費用や流れは「墓じまいの費用と改葬許可の流れ」で説明しています。
なお、親子ナビ編集部は法律の専門家ではありません。様式や必要書類は自治体ごとに違うため、申請先の市区町村に必ず確認してください。
改葬許可申請書とは
改葬許可申請書は、遺骨を今の場所から別のお墓や納骨堂へ移す許可を、市区町村長に求めるための書類です。許可が出ると改葬許可証が交付されます。
申請先は、お住まいの市区町村ではなく、遺骨が今ある場所の市区町村です。実家の近くのお墓から、自宅の近くの納骨堂へ移す場合は、実家の近くの市区町村に申請します。
申請書に記入する7項目
墓地埋葬法施行規則第2条第1項は、改葬許可申請書に次の事項を書くと定めています[2]。自治体の様式はこの項目に沿って作られています。
| # | 記入する項目(施行規則の表現) | 書くときのポイント |
|---|---|---|
| 1 | 死亡者の本籍、住所、氏名及び性別 | 戸籍の記載どおりに書く。古い遺骨は分からない項目が出やすい |
| 2 | 死亡年月日 | 分からない場合の書き方は自治体に確認する |
| 3 | 埋葬又は火葬の場所 | 火葬した場所(火葬場)など |
| 4 | 埋葬又は火葬の年月日 | 同上 |
| 5 | 改葬の理由 | 「墓じまいのため」「自宅の近くへ移すため」など、事情を簡潔に |
| 6 | 改葬の場所 | 移す先の墓地・納骨堂の名称と所在地。移す先が決まっていないと書けない |
| 7 | 申請者の住所、氏名、死亡者との続柄、墓地使用者等との関係 | 申請者が墓地の使用者本人なら「本人」など |
町田市は、火葬・埋葬の年月日が分からない場合は「不詳」と書くこと、霊園の証明に「先祖代々」とある骨壺は1体として「先祖代々」と書くことを案内しています[3]。古いお墓では分からない項目が出ることが多いので、空欄のまま出さず、申請先に書き方を聞きましょう。
添えて出す書類
施行規則第2条第2項は、申請書に次の書類を添えると定めています[2]。
- 墓地や納骨堂の管理者が作成した、埋葬・埋蔵・収蔵の事実を証明する書面(いわゆる埋蔵証明)。これによりがたい特別の事情がある場合は、市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面。
- 申請者が墓地の使用者等でない場合は、使用者等の改葬についての承諾書(またはこれに対抗できる裁判の謄本など)。
- その他、市町村長が特に必要と認める書類。
3つめの「市町村長が特に必要と認める書類」として、多くの自治体が移す先の受入証明(受入証明書や使用許可証など)を求めています。町田市は、管理者の証明印が押された申請書と、改葬先で発行された受入れを証明する書類の写しを必要書類としています[3]。横浜市は、埋蔵証明を申請書の中に含む様式で、墓地の使用者と申請者が別の人の場合は使用者の委任状か承諾書が必要としています[5]。
横浜市の案内では、改葬許可証は無料でも、墓地の管理者が出す埋蔵証明の発行には手数料が必要な場合があるとしています[5]。管理者に頼むときに確認しておきましょう。
申請の流れは5ステップ
書類は「移す先」「今の墓地」「市区町村」の順にそろえると、行き来が少なくて済みます。
申請先と様式を確認する
様式・記入例・手数料・郵送やオンラインの可否を確認します。
移す先を決めて受入証明をもらう
今の墓地の管理者に埋蔵証明を頼む
申請書の欄に管理者の証明を受ける様式の自治体もあります。
申請書を書いて提出する
改葬許可証を受け取る
許可証は、遺骨を移す先の管理者に出します。
全体:受け取りまでの日数は自治体によって違います(町田市は申請の翌営業日以降)
町田市は、申請の当日には許可証を受け取れず、翌営業日以降の交付になるため、余裕をもって申請するよう案内しています[3]。閉眼供養や撤去工事の日程は、許可証を受け取れる日を確かめてから決めましょう。
手数料と申請の方法は自治体で違う
同じ改葬許可でも、手数料や申請書の単位、郵送・オンラインの扱いは自治体ごとに違います。公式ページで確認できた例を並べます。
| 比べる項目 | 町田市 | 奈良市 | 横浜市 |
|---|---|---|---|
| 手数料 | かからない | 申請書1枚につき300円 | 無料(埋蔵証明の発行は手数料がかかる場合あり) |
| 申請書の単位 | 2体目以降は別紙に記入 | 遺骨1体につき1枚 | 遺骨1体用と複数体用の様式がある |
| 郵送・オンライン | 郵送できる(オンライン申請はできない) | オンライン申請ができる(許可書は後日郵送) | 郵送できる(返信用封筒を同封) |
| 主な必要書類 | 管理者の証明印がある申請書、受入れの証明の写し | 申請書、埋葬(納骨)の事実の証明 | 埋蔵証明を含む申請書、使用者の委任状か承諾書(別人の場合) |
奈良市のオンライン申請には、マイナンバーカードや電子署名のアプリなどが必要とされています[4]。横浜市は、郵送の場合に申請書類一式と、住所を書いて切手を貼った返信用封筒を、墓地がある区の区役所戸籍課へ送るよう案内しています[5]。
墓じまいでは、申請の手数料のほかに、撤去工事や移す先の費用がかかります。全体の目安は試算できます。
埋蔵証明がもらえないとき
管理者がはっきりしない古い共同墓地や個人墓地では、埋蔵証明を出してくれる人がいないことがあります。施行規則では、特別の事情がある場合は市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面で代えられるとしています[2]。
国民生活センターの情報誌『国民生活』の解説では、準ずる書面の例として、そのお墓の使用者であることを示す書面、故人と申請者の関係が分かる戸籍謄本、親族の同意書、経緯をまとめた事実経過説明書などを挙げています。どの書面が認められるかは市町村によって違うため、改葬許可証を出す窓口に事前に相談するよう勧めています[6]。
許可証を受け取ったあと
改葬許可証は、遺骨を移す先の管理者に出します。墓地の管理者は改葬許可証などを受け取った後でなければ焼骨を埋蔵させてはならず、納骨堂の管理者も同様に収蔵してはならないと定められています(墓地埋葬法第14条)[1]。許可証は納骨の日まで失くさないよう保管しましょう。
許可証を受け取ってから、閉眼供養、遺骨の取り出し、墓石の撤去、区画の返還、移す先への納骨と進みます。永代供養墓へ移す場合の流れは「墓じまいして永代供養へ移す手順」で整理しています。
墓石の撤去工事は、石材店に頼みます。費用は業者によって変わるため、墓地の管理者に指定の石材店があるかを確かめたうえで、見積もりを比べましょう。比べる項目は「墓じまい業者の選び方」で整理しています。複数の石材店の見積もりを比べたいときは、一括見積もりのサービスを使う方法もあります(墓石ナビで墓じまいの一括見積もりをする)。

