今のお墓を片付けて、遺骨を寺院や霊園が管理と供養を続ける永代供養墓へ移す。墓じまいの行き先として、よく検討される形です。
この記事では、今のお墓から永代供養墓へ「移す」ための手順に絞って、改葬許可の申請先、書類をどこでもらうか、遺骨の数で変わる費用、移す先を選ぶときに確かめることを整理します。永代供養の種類と費用の相場は「永代供養の費用相場と種類」、墓じまい全体の費用は「墓じまいの費用と改葬許可の流れ」で説明しています。
なお、親子ナビ編集部は法律・宗教の専門家ではありません。申請の様式や必要書類は、今のお墓がある市区町村と墓地の管理者に必ず確認してください。
永代供養へ移すときに押さえる3つのこと
お墓から遺骨を取り出して別の墓地や納骨堂へ移すことを、法律では改葬といいます。永代供養墓へ移す場合も、手続きは通常の改葬と同じです。
- 改葬には市区町村長の許可が必要です。
- 許可を出すのは、遺骨が今ある場所の市区町村長です。お住まいの市区町村ではありません。
- 許可が出ると改葬許可証が交付され、移す先の管理者に提出してから納骨します。
永代供養墓へ移す手順は8ステップ
書類は「今の墓地」「移す先」「市区町村」の3か所からそろえます。移す先を先に決めておくと、申請がスムーズです。
親族で話し合う
墓じまいをすることと、移す先(合祀か、一定期間は個別か)について同意を得ます。
遺骨の数を確かめる
古いお墓では、納められている遺骨の数が分からないことがあります。移す先の料金や申請書の枚数に関わるため、最初に確かめます。
移す先を選んで申し込む
今の墓地の管理者に証明をもらう
申請書の欄に管理者の証明を受ける様式の自治体もあります。
改葬許可を申請する
閉眼供養と遺骨の取り出し
改葬許可証が出てから遺骨を取り出します。
墓石を撤去して区画を返す
更地に戻し、管理者の確認を受けて返還します。
永代供養墓に納骨する
全体:親族・お寺との話し合いと、移す先の申込時期によって変わります
施行規則では、改葬許可の申請書に、墓地や納骨堂の管理者が作成した埋蔵(収蔵)の事実を証明する書面と、申請者が墓地の使用者でない場合は使用者の承諾書などを添えると定めています[2]。申請書には「改葬の場所」も書くため、移す先が決まっていないと申請できません。
書類はどこで何をもらうか
誰に何を頼み、何を受け取るかを先に整理しておくと、行き来を減らせます。
| 比べる項目 | 今の墓地の管理者 | 移す先(永代供養墓) | 市区町村 | 石材店 |
|---|---|---|---|---|
| 頼むこと | 墓じまいの相談、埋蔵の事実の証明 | 申込み、受入れの証明 | 改葬許可の申請 | 遺骨の取り出し、墓石の撤去・整地 |
| 受け取るもの | 埋蔵証明(申請書の欄への証明の場合も) | 受入証明(使用許可証など) | 改葬許可証 | 見積書・工事の完了 |
| 確かめること | 指定の石材店や工事の届出の有無 | 改葬の遺骨を受け付けるか、合祀の時期 | 様式・手数料・郵送の可否 | 追加費用の条件、支払い時期 |
申請の方法は自治体によって違います。たとえば町田市は、管理者の証明印が押された申請書と、改葬先の受入れを証明する書類の写しを求め、郵送でも申請でき、手数料はかかりません[4]。奈良市は、申請書が遺骨1体につき1枚で、1枚につき300円の手数料が必要です[5]。
遺骨の数で変わる費用を先に確かめる
永代供養墓には、料金を遺骨1体(骨壺1つ)ごとに決めている施設があり、その場合は移す遺骨が多いほど費用が増えます。
国民生活センターの情報誌『国民生活』の解説では、骨壺で一定期間管理する施設の場合、骨壺1つで30万〜50万円、2つめ以降は半額などと設定している施設もあると紹介しています。先祖代々のお墓から取り出す骨壺の数は相当な数になる場合もあり、仮に6つの骨壺それぞれに30万円かかるとすると総額180万円になる、という試算も示されています[3]。
骨壺で一定期間管理する施設(骨壺1つ)[3]
30万〜50万円などの例
2つめ以降を半額とする施設もある
改葬許可の手数料(奈良市)[5]
申請書1枚につき300円
遺骨1体につき1枚
改葬許可の手数料(町田市)[4]
無料
費用
遺骨の数と、移す先の料金の決め方で変わります
※永代供養墓の料金は施設ごとに違います。上の金額は国民生活センターの情報誌が紹介した施設の設定の例です。撤去工事の費用は別にかかります。
同じ解説では、永代供養墓に預ければ手間や費用がかからないというイメージだけが先行しているようにも思われる、として、パンフレットだけでなく使用規則や料金表をよく見るよう勧めています[3]。遺骨の数が多い場合は、1体ごとの料金と、何体まで同じ料金で納められるかを確認しましょう。
区画の広さと遺骨の数、移す先の種類から、墓じまい全体の費用の目安も試算できます。
移す先の永代供養墓で確かめること
移す先を決める前に、次の点を書面で確かめましょう。種類ごとの違いは「永代供養の費用相場と種類」で比べています。
- 今のお墓から移す遺骨を受け付けるか:公営霊園の募集では、施設の種類ごとに申込資格が決まっています[7]。改葬の遺骨が対象になるかを募集要項で確認します。
- 合祀される時期:最初から合祀か、一定期間は個別に安置してから合祀か。
- 遺骨1体ごとの料金:2体目以降の料金や、骨壺の大きさ・数に条件があるか。
- 受入証明の出し方:申込みから受入証明(使用許可証など)が出るまでの流れ。
- 納骨の日程:改葬許可証を持って納骨する日を、どう決めるか。
公営霊園の例:都立霊園の施設変更制度
公営霊園には、今のお墓を返して、同じ自治体の合葬式の墓地へ移せる仕組みを設けているところがあります。
都立霊園の「施設変更制度」は、お墓の承継者がいない都立霊園の使用者を対象に、今のお墓を返還して遺骨を都の合葬式墓地(小平霊園・八柱霊園)に移し、東京都が使用者に代わって遺骨を守る制度です[6]。
- 合葬式墓地の使用料と年間管理料はかかりません。
- 今のお墓を更地にする費用は、使用者の負担です。
- 今のお墓の遺骨に加えて、使用者本人と配偶者などが亡くなった際も納骨できます。
- 実施の有無や受け入れる霊園、受付期間は年度によって異なり、毎年4月以降に使っている霊園へ問い合わせるよう案内されています。
お墓が公営霊園にある場合は、同じ自治体に似た仕組みがないか、霊園の管理事務所に聞いてみましょう。
埋蔵証明がもらえないときと、土葬の場合
管理者がはっきりしない古い共同墓地などでは、埋蔵証明を出してくれる人がいないことがあります。施行規則では、こうした特別な事情がある場合は、市町村長が必要と認めるこれに準ずる書面で代えられるとしています[2]。
国民生活センターの情報誌の解説では、準ずる書面として、使用者であることを示す書面、故人と申請者の関係が分かる戸籍謄本、親族の同意書、経緯をまとめた説明書などが考えられるとしたうえで、判断は市町村によって違うため、改葬許可証を出す窓口に事前に相談するよう勧めています。また、土葬されていた遺体を改葬する場合は、いったん火葬場で火葬を行わなければならないとしています[3]。
いずれの場合も、まず今のお墓がある市区町村の窓口に相談しましょう。
困ったときの相談先
移す先の契約内容や、撤去工事の請求で話がまとまらないときは、消費者ホットライン「188」に電話すると、近くの消費生活センターなどの相談窓口を案内してもらえます[8]。
お寺との話し合いや離檀料で困ったときの考え方は「墓じまいの費用と改葬許可の流れ」で整理しています。


