介護準備

親の介護が必要になる前に、家族として何を知り、何を準備しておくべきか。このページでは厚生労働省などの公的データをもとに、介護の現実と「いま家族でやるべきこと」を整理します。私たち親子ナビ編集部は医療・介護の専門家ではありません。だからこそ「制度や数字の裏にある”実際にどう動くか”」を家族目線でお伝えします。

📊 介護の道のり — 親の年齢別に家族がやるべきこと
65歳〜
自立期
健康診断結果と親の希望を聞いておく
70歳〜
準備期
物忘れ・転倒の兆候を観察
75歳〜
検討期
介護保険申請を視野に入れる
80歳〜
本格期
在宅 or 施設の選択を判断

介護が必要になる平均年齢と、介護期間の現実

厚生労働省の「2022年国民生活基礎調査」によれば、要介護認定を受ける人の年齢分布は75歳以降に急増します。65歳〜74歳での要介護率は約4%ですが、75歳以上になると約32%まで跳ね上がります。「親はまだ元気だから大丈夫」と思っている40-50代の方こそ、75歳の節目で親の状態が大きく変わる可能性を知っておく必要があります。

また、生命保険文化センターの「2024年度生命保険に関する全国実態調査」によると、介護期間の平均は約5年1ヶ月。介護にかかる費用の平均は月額8.3万円、一時的な費用も含めると総額約580万円とされています。長期戦になることを前提に、家族の役割分担と費用の見通しを立てておくことが大切です。

親が元気なうちに家族で話し合うべき5つのこと

介護はある日突然始まることが多く、「準備していなかった」家族ほど初動で混乱します。私たち編集部のメンバーが親や祖父母の介護を経験した中で、「もっと早く話しておけばよかった」と痛感した5つの項目をお伝えします。

  1. 親の現在の健康状態と既往歴 — 持病・服用薬・かかりつけ医を家族が把握しておく
  2. 親の希望(自宅で過ごしたいか、施設か) — 元気なうちに本人の意思を聞く
  3. 親の経済状況・年金・預金の概況 — 将来の費用負担を見通すために必要
  4. キーパーソン(主介護者)を誰にするか — 兄弟間での合意は早いほど揉めない
  5. 兄弟姉妹間での負担分担の方針 — 経済的負担と労力負担の両方を話し合う

これらを一度に話すと重くなるので、お盆や正月などの集まりの場で少しずつ確認していくのがおすすめです。「介護が必要になったときの話」をゼロから始めるより、「お父さん最近どう?」から自然に入る方が話しやすくなります。

介護保険制度の基本フロー

介護保険は40歳以上の全国民が加入する公的制度で、要介護認定を受ければ1〜3割の自己負担で介護サービスを利用できます。申請から実際にサービスを使い始めるまでの流れを整理しました。

📋 介護保険 申請から利用開始までのフロー
1
市区町村窓口で要介護認定を申請
本人または家族が役所の介護保険担当窓口へ。家族の代理申請も可能
2
認定調査・主治医意見書
調査員が訪問し、本人の状態を74項目で聞き取り。並行してかかりつけ医が意見書を作成
3
介護認定審査会で判定
要支援1〜要介護5までの7段階で認定(申請から約30日後に通知)
4
ケアマネジャーがケアプラン作成
居宅介護支援事業所からケアマネを選び、利用するサービスを計画
5
介護サービス開始
訪問介護・デイサービス・福祉用具レンタル等を利用開始

申請から利用開始まで通常30〜45日かかります。「親の様子が急に変わった」と感じたら、認定が出る前から地域包括支援センターに相談しておくと、暫定的なサポートを受けられる場合があります。

在宅介護と施設介護、選び方の判断基準

介護が始まるとき、最も大きな選択が「自宅で介護するか、施設に預けるか」です。費用・家族の労力負担・本人の希望のバランスで判断します。

🏠 在宅介護 vs 施設介護 比較
在宅介護施設介護
月額費用5〜15万円(自己負担分)15〜40万円(特養〜有料老人ホーム)
家族の労力負担大(常時の見守り必要)小(面会のみ)
本人の安心感◎ 慣れた環境で過ごせる△ 環境変化への適応必要
医療対応訪問医療・訪問看護で対応常駐の医療スタッフ
入居までの期間すぐ開始可能特養は数ヶ月〜数年待ちの地域も

「本人の希望を最優先」と考えがちですが、家族の体力・仕事との両立も同じくらい重要です。無理な在宅介護は介護うつ・介護離職を招くリスクがあるため、ケアマネジャーと相談しながら、家族全員にとって持続可能な選択をすることが大切です。

介護費用の目安と、備える方法

厚生労働省「介護給付費等実態統計」によれば、要介護度別の月額費用(自己負担1割の場合)はおおよそ次の通りです。

要介護度月額自己負担(目安)主な利用サービス
要支援1〜25,000〜10,000円週1〜2回のデイサービス
要介護1〜215,000〜20,000円デイサービス + 訪問介護
要介護325,000円前後毎日のサービス利用 / 施設検討
要介護4〜530,000〜36,000円常時介護 / 施設入所が現実的

ただしこれは介護保険でカバーされる部分のみ。おむつ代・配食サービス・福祉用具の自費購入等は別途必要で、総額では月8〜10万円を見ておくと安心です。

費用に備える3つの選択肢

  • 親の年金・預金を主原資にする — まず親自身の資産を最初に充てる
  • 家族の負担分担 — 兄弟姉妹で「お金 / 労力」のどちらかを分担
  • 民間介護保険・家族信託 — 親の資産凍結リスク(認知症で口座が動かせない)に備える

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よくある質問

介護保険の申請はいつから?

40歳以上であれば加入していますが、サービスを使うには要介護認定が必要です。「親の様子が変わった」と感じたら早めに地域包括支援センターに相談してください。65歳未満でも、認知症や脳血管疾患など特定の疾病であれば認定対象になります。

親が介護を嫌がっている場合は?

本人のプライドや「家族に迷惑をかけたくない」気持ちが背景にあることが多いです。「家族のためにも頼んでくれた方が助かる」と伝えるのが効果的。ケアマネに相談すると、家族と本人の橋渡しを手伝ってくれます。

兄弟との費用負担はどう決めればいい?

法律上は兄弟全員が扶養義務を負いますが、現実には「主介護者の労力負担が大きい兄弟は費用負担を減らす」「遠方の兄弟は費用で負担」等のバランスを話し合います。親自身の資産を先に使ってから家族負担を考えるのが基本です。

介護離職を避けるには?

介護休業制度(最大93日、給付金あり)・短時間勤務・テレワーク等の活用が有効です。会社の人事に早めに相談することで、ケアマネと連携した働き方の調整が可能になります。

介護保険でカバーできない費用は?

おむつ・パッド類・配食サービス・福祉用具の自費購入(介護ベッド購入等)・施設の食費・居住費等が別途必要です。月2〜5万円の自費負担を見ておくと安心です。

困ったらまず相談する公的窓口

  • 地域包括支援センター — 介護全般の相談窓口。各市区町村に設置。無料
  • ケアマネジャー — ケアプラン作成・サービス調整。要介護認定後に選定
  • 社会福祉協議会 — 経済的支援(生活福祉資金貸付等)の相談
  • 主治医・かかりつけ医 — 健康面の相談、要介護認定の意見書作成

私たち親子ナビ編集部は医療・介護の専門家ではありません。判断に迷う場合は必ず公的窓口や専門家にご相談ください。

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