親が要介護になり、在宅での介護を考え始めた方へ。訪問介護(ホームヘルプ)は在宅介護の中心となるサービスですが、「ヘルパーさんに何でも頼める」わけではありません。
身体介護・生活援助・通院等乗降介助の3区分で、頼める内容と料金が決まっています。この記事では、訪問介護で何をしてもらえるか、できないことは何か、介護保険外の選択肢までを整理します。
親子ナビ編集部は医療・介護の専門家ではありません。具体的なケアプランは担当のケアマネジャーにご相談ください。
訪問介護の3区分
訪問介護は、訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問して提供する介護保険のサービスです[1]。内容は次の3つに分かれます。
| 比べる項目 | 身体介護 | 生活援助 | 通院等乗降介助 |
|---|---|---|---|
| 内容 | 利用者の体に直接触れて行う介助 | 本人に代わって行う日常生活の支援 | 通院などのための乗車・移送・降車の介助 |
| 主な例 | 食事・排せつ・入浴の介助、着替え、体位の変換など | 掃除・洗濯・買い物・調理など | ヘルパーが運転する車への乗り降りや移動の介助 |
「身体介護」と「生活援助」の違い
同じ「料理」でも、本人と一緒に作って自立を支える場合は身体介護、本人に代わって作るだけの場合は生活援助に分類されることがあります。区分によって料金が違い、ケアプランで時間帯ごとに決められます。
「何時から何時まで何をするか」を事業者・本人・家族で事前にはっきりさせておくと、トラブルの防止につながります。
できること・できないこと
判断のポイントは「利用者本人の日常生活に必要なことかどうか」です。厚生労働省の介護サービス情報公表システムでも、「利用者の家族のための家事や来客の対応」や「草むしり、ペットの世話、大掃除、窓のガラス磨き、正月の準備」などは利用できないとされています[1]。
| 比べる項目 | 頼めること | 頼めないこと |
|---|---|---|
| 調理 | 本人の食事を作る | 同居家族の分の食事 |
| 洗濯 | 本人の衣類 | 家族の衣類 |
| 掃除 | 本人が使う部屋・トイレなど | 家族が使う部屋、来客用の部屋、大掃除 |
| 買い物 | 本人の日用品・食材 | 家族のための買い物 |
| 外出 | 通院など(通院等乗降介助) | 趣味の外出・冠婚葬祭への同行(原則対象外) |
| 特別な家事 | ― | 正月の準備などの特別な手間をかける調理 |
| ペット・庭 | ― | ペットの世話、草むしり |
| 窓・家具 | ― | 窓のガラス磨き、家具の移動 |
「頼めないこと」は介護保険の対象外という意味で、介護保険外の自費サービスなら依頼できる場合があります(後述)。
自己負担と料金の目安
訪問介護の費用は、介護報酬(サービスごとの単位数×地域ごとの単価)で計算され、自己負担は所得に応じて1割〜3割です[3]。介護サービス情報公表システムでは、要介護1〜5の人の1割負担の目安が次のように示されています。
| サービス | 所要時間 | 1割負担の目安 | 2割負担(目安) | 3割負担(目安) |
|---|---|---|---|---|
| 身体介護 | 20分未満 | 163円 | 約326円 | 約489円 |
| 身体介護 | 20〜30分未満 | 244円 | 約488円 | 約732円 |
| 身体介護 | 30分〜1時間未満 | 387円 | 約774円 | 約1,161円 |
| 生活援助 | 20〜45分未満 | 179円 | 約358円 | 約537円 |
| 通院等乗降介助 | 1回 | 97円 | 約194円 | 約291円 |
※1割負担の目安は介護サービス情報公表システムによるものです[3]。2割・3割は1割の目安を単純に2倍・3倍した参考値です(出典の数字から編集部が計算)。地域区分や事業所の加算(処遇改善加算など)によって実際の金額は変わります。正確な料金は、契約前に事業所の重要事項説明書で確認してください。通院等乗降介助の運賃は別にかかります。
支給限度額を超えると全額自己負担
訪問介護だけで使い切らず、デイサービスや福祉用具の貸与などと組み合わせて全体を考えるのが、ケアマネジャーの役割です。
利用までの5ステップ
訪問介護を利用するには、まず要介護(要支援)認定が必要です[4]。認定を受けている方は3から始めてください。
要介護認定を申請する
本人または家族が申請します。地域包括支援センターに代行してもらうこともできます。申請から認定の通知までは原則30日以内です。
認定調査・主治医意見書
調査員が自宅を訪問して聞き取りを行い、主治医が意見書を作成します。これらをもとに介護認定審査会が要支援1〜要介護5を判定します。
ケアマネジャーに相談する
ケアプランの作成に利用者の負担はありません。
ケアプランの作成・事業所との契約
訪問介護を含むケアプランを作り、事業所と契約します。複数の事業所を比べてから決めても構いません。
サービス開始
ヘルパーが決められた曜日・時間に訪問します。状態が変わったら、いつでもケアマネジャーに相談できます。
申請から認定の通知までの期間は介護サービス情報公表システムの「介護保険の利用の流れ」[4]、ケアプランの作成の負担は「居宅介護支援」[2]の案内によります。詳しい申請の流れは介護保険の申請の流れ7ステップで解説しています。
事業所選びのチェックポイント
ケアマネジャーが事業所を提案してくれます。比べるときは、対応できる時間帯(早朝・夜間・土日祝)、同性による介助への対応、緊急時の連絡体制などを確認しましょう。「できるだけ同じヘルパーに来てほしい」といった希望も、事前に伝えておきましょう。
介護保険でカバーされない場面と選択肢
訪問介護(介護保険)の対象は本人の日常生活に必要なことに限られます。在宅介護をしていると、次のような場面で「介護保険の壁」を感じることがあります。
- 同居する家族の食事も一緒に作ってほしい
- 草むしりや庭木の手入れをしてほしい
- 来客や行事の前に大掃除をしてほしい
- 結婚式やお墓参りに付き添ってほしい
- 長時間、見守りを続けてほしい
- 家族が出張で不在の間、泊まりで付き添ってほしい
- ペットの世話をしてほしい
こうした場面では、介護保険外の自費サービスを組み合わせる選択肢があります。訪問介護事業所が自費サービスを提供している場合もあるほか、家事代行サービスや、市区町村・社会福祉協議会などの生活支援サービスがある地域もあります。
料金は全額自己負担になるため、利用前に見積もりを取りましょう。
自費サービスを使う前にケアマネジャーへ共有を
介護保険のサービスと自費サービスを組み合わせる場合は、担当のケアマネジャーに必ず共有してください。ケアプラン全体を把握している立場なので、自費サービスの予定を知っていれば、より現実的なプランを組み直しやすくなります。
夜間の安否確認や、離れて暮らす親の様子の把握には、見守りサービスを組み合わせる方法もあります。


