親が亡くなり、誰も住まなくなった実家。売るときの方法は、大きく分けて**買取業者に直接買ってもらう(買取)**か、**不動産会社に買主を探してもらう(仲介)**かの2つです。
この記事では、2つの売り方の違いと、どちらを選ぶ場合でも先に確認しておきたい「相続登記」「空き家の3,000万円特別控除」「契約不適合責任」を、国税庁・国土交通省・法務省の資料と民法をもとに整理します。
なお、親子ナビ編集部は不動産・税金の専門家ではありません。具体的な判断は、不動産会社(宅地建物取引士)・税理士・司法書士に確認してください。
買取と仲介の違い
買取は、不動産会社が自ら買主になる売り方です。仲介は、不動産会社と媒介契約を結び、一般の買主を探してもらう売り方です。違いを並べると次のとおりです。
| 比べる項目 | 買取 | 仲介 |
|---|---|---|
| 買主 | 不動産会社(買取業者) | 一般の個人・法人 |
| 仲介手数料 | 買取業者が直接買う場合は仲介ではない | 法律で決まった上限の範囲でかかる |
| 価格の決まり方 | 業者が修繕・再販売の費用やリスクを見込んで提示 | 売り出し価格を決め、買主と交渉 |
| 売れるまで | 買主が決まっているので、条件が合えば進めやすい | 買主が見つかるまでの期間は物件による |
| 確認したいこと | 査定の根拠、契約不適合責任の扱い、残置物の扱い | 媒介契約の種類、手数料の額、売り出し価格の根拠 |
どちらが向いているかは、家の状態や立地、売るまでに使える時間で変わります。1社の査定だけで決めず、買取と仲介の両方で査定を取り、価格と条件を並べて比べるのが確実です。
仲介手数料には上限がある
仲介手数料(媒介報酬)には上限が決められています。国土交通省の案内では、売買価格が1,000万円の場合、上限はおよそ39.6万円(消費税込み)です[2]。
2024年7月1日からは、**800万円以下の宅地建物(低廉な空家等)**の売買の仲介では、売主・買主のそれぞれから「30万円×1.1倍」まで受け取れるようになりました[2]。この特例は、媒介契約を結ぶときにあらかじめ説明を受け、上限の範囲内で合意しておくことが前提です。契約前に金額を確認しておきましょう。
買取業者が自ら買主になる取引は仲介ではないため、通常は仲介手数料がかかりません。ただし、買取業者との間に別の不動産会社が入る場合は、その会社への仲介手数料がかかります。
ミライアスで売却査定を申し込む売る前に必要な相続登記
買取でも仲介でも、名義が亡くなった親のままでは売買できません。まず相続人の名義に変える相続登記をします。
相続登記の費用や必要書類は、相続した実家の売却の流れでも整理しています。
空き家の3,000万円特別控除の要件
亡くなった親が1人で住んでいた家を相続して売った場合、要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を差し引けます。2024年1月1日以後の売却で、その家を相続した人が3人以上いる場合は、1人あたり2,000万円です[1]。
国税庁の案内にある主な要件は次のとおりです[1]。
- 建物が昭和56年5月31日以前に建てられたこと(区分所有のマンションは対象外)
- 相続の開始の直前に、亡くなった人が1人で住んでいたこと
- 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 売却代金が1億円以下であること
- 耐震基準に適合させるか、取り壊すなどの要件を満たすこと
- 親子や夫婦など特別な関係のある人に売るのではないこと
- 相続の後、事業・貸付・居住に使っていないこと
この特例は2027年12月31日までの売却が対象です[1]。買取業者に売る場合も、これらの要件を満たせば使えます。売る前に、耐震や取り壊しの要件を買主と売主のどちらがどう満たすのかを、契約の条件として確認しておきましょう。
相続した空き家を売るときの主な期限
起点
相続の開始(亡くなったこと)を知った日
3年以内
相続登記の申請(不動産の取得を知った日から)[4]
相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日
空き家の3,000万円特別控除を使える売却の期限[1]
2027年12月31日
空き家の3,000万円特別控除の適用期限(この日までの売却が対象)[1]
起点は手続きごとに違います。かっこ内の起点を確認してください。
うちの期限を計算する契約不適合責任の特約を確認する
民法では、引き渡した物の種類・品質・数量が契約の内容に合わない場合、買主は売主に修補などを求めることができます(第562条)[3]。これを契約不適合責任といいます。
古い空き家では、雨漏りやシロアリの被害などが売った後に見つかることがあります。買取の契約では、この責任を売主が負わない特約を付けることがあります。
買取業者を選ぶときの確認点
- 宅地建物取引業の免許:国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で、業者名から免許の有無・所在地・免許行政庁を確認できます[2]。
- 査定の根拠:価格の理由(修繕費・解体費・再販売の見込みなど)を説明してもらえるか。
- 残置物の扱い:家財を残したまま引き渡せるのか、片付けの費用は誰が負担するのか。
- 契約不適合責任の扱い:免除の特約があるか、ある場合の範囲はどこまでか。
- 複数社で比べる:買取業者どうし、買取と仲介の両方で条件を並べて比べる。
売る流れ(買取の場合)
相続人と分け方を決める
誰が相続するか、売って代金を分けるかを決めます。
相続登記をする
査定を依頼する
買取と仲介の両方で査定を取り、価格の根拠を聞きます。
条件を比べて売買契約を結ぶ
契約不適合責任・残置物・引渡し日の条件を確認します。
決済・引渡し
確定申告をする
3,000万円特別控除を使う場合は、売った年の翌年に申告します。
空き家のまま置いておく場合の注意
空家等対策の推進に関する特別措置法の改正(令和5年法律第50号)[5]で、放置すれば特定空家等になるおそれがある空き家を、市区町村が「管理不全空家等」として指導・勧告できるようになりました。勧告を受けた管理不全空家等の敷地は、固定資産税の住宅用地特例の対象から外れます[6]。
売るまでに時間がかかりそうなときは、換気や草木の手入れなど、最低限の管理を続けましょう。害虫の対策は空き家の害虫対策で整理しています。

