親が亡くなって実家の片付けが必要になった方、親が施設に入って家を空けることになった方へ。
実家の片付け・遺品整理は、「どのくらい費用がかかるか」と同時に、「相続の手続きとどう関係するか」を知ってから進めることが大切です。順番を間違えると、相続放棄ができなくなったり、大切な書類を捨ててしまったりすることがあります。
この記事では、費用の決まり方、進める順番、相続の期限、業者選びの基準、トラブルの防ぎ方、実家を売る場合の考え方までを整理します。
親子ナビ編集部は遺品整理業者・法律の専門家ではありません。相続に関わる判断は、司法書士・弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。
遺品整理の費用はどう決まるか
遺品整理の料金は、間取りだけでは決まりません。同じ間取りでも、物の量や建物の条件で見積額は大きく変わります。
| 費用を左右する要素 | 内容 |
|---|---|
| 物の量 | 家具・家電・衣類・本などの量。処分する量が多いほど、作業人数・車両・処分費が増える |
| 運び出しやすさ | エレベーターの有無、階数、トラックを止められる場所、通路の広さ |
| 作業の内容 | 仕分け・梱包・搬出・清掃のどこまで頼むか |
| オプション | 仏壇や人形の供養、ハウスクリーニング、特殊清掃、エアコンの取り外しなど |
| 買取の有無 | 売れる物があれば、買取額を費用から差し引ける場合がある |
見積もりは「訪問」で、項目ごとに
物の量は写真や間取りだけでは正確にわかりません。実際に家を見てもらったうえでの見積もりを、複数社から取って比べましょう。
国民生活センターは、遺品整理サービスの相談例として「高額なキャンセル料を請求された」「作業当日に追加料金を請求された」「残すはずの遺品を処分された」などを紹介しています。そのうえで、複数社の見積もりを比べること、見積書の内容・キャンセル料・作業内容を事前に確認することを呼びかけています[1]。
| 見積書で確認すること | ポイント |
|---|---|
| 作業の範囲 | 仕分け・搬出・清掃のどこまでが含まれるか |
| 処分費 | 処分する物の量と、その費用がいくらか |
| 追加料金の条件 | 当日に物が多かった場合などに、いくら追加されるか |
| キャンセル料 | いつから、いくらかかるか |
| 買取 | 買い取る物と金額、費用から差し引くのか別に支払うのか |
実家の片付けを進める順番
遺品整理は「捨てる作業」から始めないことが大切です。次の順番で進めると、トラブルを防ぎやすくなります。
相続人で方針を話し合う
いつ・誰が・どこまで片付けるか、費用をどう分担するかを決めます。
貴重品・重要書類を探す
相続放棄の可能性を確認する
借金が多いなど、相続放棄を検討する場合は処分・売却をしません(次の章)。
残す物・形見分けを決める
相続人全員で確認してから分けます。
売れる物を査定する
貴金属・ブランド品・骨董品などは、処分の前に買取査定を検討します。
処分する
実家をどうするか決める
売る・貸す・住む・空き家として管理する、のどれかを選びます。
相続放棄を検討しているなら、処分しない
相続放棄の申述は、自分が相続人になったことを知った時から3か月以内に、故人の最後の住所地の家庭裁判所に行います[4]。
放棄するかどうか迷う場合は、片付けを始める前に司法書士・弁護士へ相談してください。手続きの流れは相続放棄の流れで整理しています。
遺言書が出てきたら
自筆の遺言書(法務局に保管されていないもの)を見つけたら、家庭裁判所で検認の手続きが必要です[5]。
封がしてある遺言書は、家庭裁判所で相続人の立ち会いのもとで開封することになっているため、その場で開けないようにしましょう。公正証書遺言や、法務局に保管された自筆証書遺言は検認が不要です。
実家の片付けと相続の期限
片付けを始める時期に決まりはありませんが、相続の手続きには期限があります。
片付けと関係する相続の期限
起点
亡くなった日(相続の開始を知った日)
3か月以内
相続放棄・限定承認(判断が済むまで遺品を処分・売却しない)[4]
4か月以内
準確定申告(源泉徴収票・医療費の領収書などを探す)[6]
10か月以内
相続税の申告・納付(財産の評価に必要な書類や、価値のある品物を把握する)[7]
準確定申告と相続税の期限は、知った日の翌日から数えます。
うちの期限を計算するほかにも、賃貸住宅なら退去までの家賃、持ち家なら固定資産税や管理の手間がかかります。
四十九日などで親族が集まる機会に、形見分けまで進める家庭も多いです。気持ちの整理がつかないうちは無理に急がず、期限のある手続きを優先しましょう。
業者選びの5基準
- 一般廃棄物の扱いが適法か:環境省は、家庭の廃棄物を回収するには市区町村の「一般廃棄物処理業許可」や委託が必要で、「産業廃棄物処理業の許可」や「古物商の許可」では回収できないと案内しています[2]。遺品整理業者が処分をどのように行うのか(自社で許可を持つか、許可業者と提携しているか)を確認しましょう。
- 買取をするなら古物商許可があるか:買取を含むプランでは、古物商の許可番号を確認します。
- 見積書が項目別で明朗か:「一式◯万円」ではなく、作業内容・処分費・追加料金の条件が分かれているか。
- キャンセル料と追加料金の条件が書面で示されるか:国民生活センターの相談例でも多いポイントです。
- 残す物と処分する物の区別を確認する手順があるか:作業前に「残す物リスト」を共有し、作業中に迷った物は確認してもらうよう依頼します。
必ず複数社の見積もりを取り、内訳と条件を比べてから決めましょう。
よくあるトラブルと回避策
- 当日の追加料金:物が想定より多かった場合の追加料金の計算方法を、契約前に書面で確認します。
- キャンセル料:見積もりの場で急かされて契約しないこと。キャンセル料がいつから発生するかを確認します。
- 大切な物の誤処分:写真・手紙・書類など、残したい物は事前に別の部屋にまとめるか、目印をつけておきます。
- 親族間のもめごと:「あれを勝手に捨てた」というトラブルを防ぐため、処分の前に相続人全員の了解をとっておきましょう。
トラブルになったときは、消費者ホットライン「188」で最寄りの消費生活センターに相談できます[9]。
売れる物は処分の前に査定を
遺品の中に貴金属・ジュエリー・時計・ブランド品・骨董品などがあれば、処分する前に買取査定を検討しましょう。売れた分は片付け費用の足しにできます。
ただし、相続放棄を検討している場合は売却しないでください(前述)。また、売却した代金は相続財産の一部になるため、相続人の間で扱いを決めておきましょう。
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ダイヤモンドやジュエリーが中心なら、宝石の買取を扱う業者の査定を比べる方法もあります。形見分けや税金、査定を受けるときの注意点は「ダイヤモンド・ジュエリーの相続と買取」で整理しています。
片付けの後、実家をどうするか
実家の片付けは、実家を売る・貸す・住むのどれを選ぶかと深く関わります。
売却するなら、片付けや解体の費用、仲介手数料、譲渡所得にかかる税金などを差し引いた手取り額で考えることが大切です。相続した空き家の売却では、条件を満たせば税金の特例を使える場合もあります[8]。
売却の具体的な手順は、相続した実家を売却する流れで整理しています。相続全体の手続きは相続・実家の記事一覧もご覧ください。


